ブラウン・ブラフ
午後はブラウン・ブラフに上陸。南極大陸最北端の地。ポーレット島は「島」だったので、南極「大陸」にはこれが初上陸ということになる。
ブラウン・ブラフという地名は、そびえたつ茶色い岩の壁から。
フィー子は、人騒がせなペンギン着ぐるみを脱いで、みんなと同じ赤いパーカ姿になりました。
アデリー・ペンギン。
ジェンツー・ペンギンの親子。
フィー子、ペンギンと遭遇。
ペンギン様のお通り。
船に興味津々のぺンギンたち。
ジェンツー・ペンギンは目の上の白い斑点、くちばしと足の鮮やかなオレンジ色が特徴。
アデリー・ペンギンの群れの中に、一頭だけヒゲペンギンを発見!
ヒゲペンギンはこの一頭しか見られなかった。結局、見られたのは3種類だけ。
皇帝ペンギンの生息地はもっと内陸です。
雪山を背景にテーブル型氷山とペンギンの群れ……これぞ南極という風景。
透明な光で青く染まったテーブル氷山がほんとうにきれいです。
ドレーク海峡を越えて南極海へ
南極へ行く航路で最難関といわれているのがドレーク海峡です。
穏やかなときはドレーク・レーク(湖)、荒れるときはドレーク・シェークと呼ばれるんだって。
行きのドレーク海峡は波の高さが2メートルほどで、どちらかといえばレークに近いほど穏やかだったそうです。ところが!
「nikoさんとmegumiさんはまる2日間、船酔いで寝込んでいたよ」
2日間、おかゆとフルーツとポカリスウェットだけで生き延びた。
これは食堂で、朝食に出たおかゆ。船酔い中は部屋までおかゆを運んでくれました。
覚悟はしていたけど、たいへんな船酔いだった。シニアのみなさんが元気なのには驚いた。
太平洋戦争を境に、生年がその前か後かで頑丈さがちがうという説が出たけど本当でしょうか?
なかでも、とくにひどい船酔いにやられちゃったのが、いちばん若いyukaさん。まる3日くらいぜんぜん姿を見せないので、みんなで心配しちゃったよ。
「そーお? フィー子はぜんぜんへいきだったよ!」
フィー子、もしかしたら戦前生まれなんじゃないの? フィー子シニア疑惑。
出航から2日後、へろへろながら、なんとかデッキに出られるようになって初めて目にした流氷。
しかし、南極の自然がこれまで守られてきたのは、このドレーク海峡が存在したおかげかもしれない。冒険家や観光客をそう簡単には受け入れない厳しい自然条件。南極大陸の周囲は海流も気流もとても激しく、まるでこの大陸を守る障壁のようになっているんだそうです。
そのせいで、南極は人の手に触れられずにすみ、地球の歴史を探るのにかけがえのない貴重な資料になっている。
宇宙規模で見ても地球みたいな星はめったにない奇跡なんだって。人類も動植物も、海(水)のあるこの惑星でしか生きられない。南極を守ることは、私たちのため、子孫のため、そして地球のためにも必須なんだそうです。
という、おもしろくまた興味深いお話を聞かせてくれたのは、ウッズホール海洋研究所の本庄丕(ほんじょう すすむ)先生。
左から、三浦隊長、本庄先生、坂井シェフ、グローバルの古木会長。
南極海に入れば海は穏やかで、すぐに回復した。
これが上陸用のゾディアック・ボート。10人ほど乗れる。船の側面の階段を下りて、ボートに乗り込む。
初めての上陸地点、ポーレット島。
ペンギンがすいすいと泳いでいる。
ペンギン着ぐるみ姿のフィー子。
ここで、ペンギンわしづかみ事件が起こった!
ツアーコンダクターSさんの談話。
「最初の上陸地点でのことです。南極は自然保護の観点からペンギンには5メートル以内に近づいてはいけないことになっています。南極のペンギンは人間を怖がりませんし、お客様はつい夢中になって近づきすぎてしまうことがあります。それを注意するのも私たちツアーコンダクターの仕事です。
ふと見ると、ペンギンに1メートルくらいまで近づいて写真を撮ろうとしているお客様がいるではありませんか。離れてくださぁいと声をかけようとしました。するとどうでしょう……なんと、そのお客様がペンギンの頭をつかんでポーズを変えようとしている! ぎょっとして、駆け寄ろうとしたとき、こんどはそのお客様がペンギンをわしづかみにして鞄の中にぐいっと入れてしまいました……肝がつぶれるとは、このことです」
そうです。そのペンギンこそ、ペンギンの着ぐるみを着たフィー子だったのです。
Sさん、ぎょっとさせてすみませんでした。
挙動不審の怪しいカメラマン。
ブエノスアイレスから最南端の町ウシュアイアへ
ブエノスアイレスから国内線の飛行機に乗っておよそ4時間。南米大陸最南端の町ウシュアイアに到着。
「ウシュアイアの空港は木材をたくさん使った山小屋風の建物だったよ」
「真夏なのに、山には雪が!」
冬が長くて厳しい気候なので、少しでも気をまぎらせるため、家には明るいきれいな色のペンキが塗ってある。
昼食を食べたレストランの看板の前で。レストランの窓から見える山並みは「オリビアと5人の兄弟」と呼ばれているんだって。
高山植物のように小さな花が咲き乱れている。あちこちの庭に大きなルピナスの花が。ガーデニングが趣味の友人も「こんなに大きいのは見たことがない」って。
「巨大ルピナスの逆襲!」フィー子とつぜんなにを?
「このブログも、もうすこしドラマチックに演出しないとね」
丘の上から眺めたウシュアイアの町。桟橋には南極海やマゼラン海峡クルーズに出かける豪華客船が並んでいる。
この中に、私たちが乗る〈クレリアII〉号もいるはず。
いよいよ出航。ウシュアイアの町が遠ざかる。
船と並んで大きなオオフルマカモメが!
カミニートへ(ブエノスアイレス)
そこから、タンゴ発祥の地といわれるボカ地区のカミニートまでバスで移動。バスの窓から市内を見物。動いているバスの中からなので、写真はあまりよく撮れていない。
ブエノスアイレスを本拠地とするサッカーのクラブチーム、ボカ・ジュニアーズの壁画とスタジアム。
末はメッシかマラドーナ?
アルゼンチン代表のユニもよく見かけた。
「10番じゃなくて、11番(テベス?)というのが渋いね!」フィー子、いつからサッカーファンに?
アルゼンチン国旗のブルーと白のストライプに黄色い太陽のいわれも聞いた。
独立革命の英雄、ベルグラーノ将軍が空を見上げ、そこにあったもの――「青い空と白い雲、そして太陽」――を国旗にあらわしたんだって。
「きれいな色のおしゃれな国旗だね」
国旗がひるがえる大統領官邸 通称ピンクハウス(カサ・ロサダ)。
五月広場横の大聖堂と広場から見たオベリスク。
かつての港町ボカ地区のカミニートへ。
短い通り2本がまるで原宿の竹下通りのように観光客でごったがえしている。観光客向けに一緒に写真を撮ってくれるタンゴダンサー。男性ダンサーは女性観光客を抱き上げて、タンゴのポーズでばしっと決める。かなーりウェイトのありそうな若い女性を軽々と(?)抱き上げていた。
壁の標識と路上のカフェの軒先で踊られるアルゼンチン・タンゴ。
「フィー子が着てきたドレスの色がグリーンと赤で、まさにぴったりね!」
「ロマンスグレーのナイスミドルのおじさま」それって死語……フィー子いくつなの?
「ごぞんじマラドーナ! ワールドカップのスーツ姿でピッチ外からボールキック、かっこよかったね」もう一度いうけど、フィー子、いつのまにサッカー・ファンに?
「ここでも絵葉書をGET!」
「ファッショ雑誌のグラビアみたいじゃないこと?」フィー子、ついにモデルデビューか?
窓枠の色や、窓の格子までグリーンできれい。
「昔、このへんは港町だったんだって。この壁画みたいに、移民の人たちが港湾労働者として働いていたんだよ。重そうだー!」
ブエノスアイレスでエビータのお墓
アルゼンチンのイグアス空港からブエノスアイレスに向かいます。
ブラジルとアルゼンチンは石の産地として知られている。そのため、ホテルでもふんだんに大理石が使われていて、お風呂やトイレはとても優雅な雰囲気がある。とくにインカ・ローズと呼ばれるピンク色の石が有名。
イグアスの空港でも待ち時間があったので、ついお店にふらふらとさまよいこみ、ピンクのちっこいペンギンを買ってしまった。小さいくせに、けっこうなお値段でした。
私たちがリオを出たその日、大雨が降って大洪水になり、リオ周辺で大勢の死者が出たそうだ。
一方、空から見るブエノスアイレスはリオとは違って、平坦に広がり、緑が多い。大きな川はラプラタだろう。大雨のせいか、川の水は茶色く濁っている。空港のすぐ前はラプラタが横たわる。
幅の広い川で、対岸(ウルグアイ)は見えず。
「海みたいだねー」
風が強い。
飛行機が遅れたせいで、レストランへ行く時間がなくなり、バスのなかでサンドイッチとミネラルウォーターのランチ。機内食もサンドイッチと甘いお菓子のランチボックスだった。
「お味は、まあ、それなり?」フィー子えらそう。
まずエビータのお墓のあるレコレータ墓地へ。
日本でいえば青山墓地か谷中の墓地といったところか。ただしお墓がそれぞれ意匠をこらした霊廟になっている。小さな家が並んでいるようで、死者の住む町という感じ。霊廟は立派な大理石でできていて、天使や聖人の彫像、ステンドグラスなどで装飾されている。敷地はもう満杯で、新しく買うのはなかなか難しいとのこと。しかし、なかには手入れが行き届かないお墓もあり、壁が崩れて納骨堂の内部が覗けるような場所もあった。
エビータのお墓が観光の目玉になっている。墓標にエビータの顔のバスレリーフ(浅浮き彫り)が。
「泣かないで〜アルヘンティーナ〜」とつぜん、マドンナになりきって歌いだすフィー子。
「わたしの〜のお墓のまーえで〜泣かないでください〜」それ、歌がちがうから。
日本とちがうなーと思ったのは、天使や聖人、故人をかたどったようなリアルな彫像がお墓を飾っているところ。キリスト教の伝統というものかもしれないけど、あまりにリアルな悲哀の表現にはちょっとなじめない日本人である。
「フィー子も人生について考えちゃったよ!」人生というか……あんたは人形だけどね。
墓地の入り口に立つフィー子。人生について考えているようにはとても見えない!
薄紫のはジャカランダの花、ピンクの花はガイドさんいわく「酔っ払いの花」(これはたぶん沖縄にもたくさんあるトックリキワタだと思う)。
ボート・ライディングで水びたし
さて、お次は楽しみなボートライディングのために、またブラジル側の滝に戻ります。ジャングルの中をまず、二台連結の無蓋の電動車に乗って進む。
熱帯の木々がきれい。
途中から、もっと細い道になるので、ジープに乗り換えます。外国人の観光客のなかにはビキニの水着姿でビーチサンダルの人もいました。子供や若者だけでなく、かなり年配のおばさまが肌も露わな格好で堂々と歩いているのは、さすがラテンの国。
レインコートを着て、その上からライフジャケットをつけます。カメラはしっかりビニールでくるむこと。今回、フィー子はボート乗り場のロッカーの中(泣)。
ガイドのお兄さんが陽気に盛り上げるのは、ディズニーランドと同じ。こちらは本物だけどね。ボート乗り場には黄色のきれいな小鳥が。ボートのガイドは陽気なお兄さん。
ボートはこんな感じ。通り過ぎた別のボートを撮ってみた。
途中、カピバラさんを発見。水の中に浸かって、頭だけ出して動じず。体の小さいカピバラ(たぶん子供たち)は河原で動いていた。
外国旅行をするとき、いつも現地でお財布を買って、現地通貨はそこに入れて使うことにしているんだけど、今回はイグアスの空港でカピバラの革のお財布を買った。
あの滝に突っ込む。水面が傾いているのはボートが揺れるせいです。
滝の中に突っ込むのは順番待ち。そのあいだ、川面にきれいな虹がかかっていた。いよいよ突入。最初はちょっとだけ。だんだんエスカレートしてきて、ざばーっと頭から、水をかぶる。一眼デジカメはタオルに包んだうえからビニール袋をかぶせ、それ以後は防水のムービーカメラ、サンヨーのザクティに切り替え。上からどころか、下からもばしゃっと水があがってきて、びしょ濡れになった。
「あーおもしろかった!」……って、フィー子、ロッカーの中にいたんじゃないの?