ドレーク海峡を越えて南極海へ

南極へ行く航路で最難関といわれているのがドレーク海峡です。
穏やかなときはドレーク・レーク(湖)、荒れるときはドレーク・シェークと呼ばれるんだって。
行きのドレーク海峡は波の高さが2メートルほどで、どちらかといえばレークに近いほど穏やかだったそうです。ところが!
「nikoさんとmegumiさんはまる2日間、船酔いで寝込んでいたよ」
2日間、おかゆとフルーツとポカリスウェットだけで生き延びた。

これは食堂で、朝食に出たおかゆ。船酔い中は部屋までおかゆを運んでくれました。
覚悟はしていたけど、たいへんな船酔いだった。シニアのみなさんが元気なのには驚いた。
太平洋戦争を境に、生年がその前か後かで頑丈さがちがうという説が出たけど本当でしょうか?
なかでも、とくにひどい船酔いにやられちゃったのが、いちばん若いyukaさん。まる3日くらいぜんぜん姿を見せないので、みんなで心配しちゃったよ。
「そーお? フィー子はぜんぜんへいきだったよ!」

フィー子、もしかしたら戦前生まれなんじゃないの? フィー子シニア疑惑。


出航から2日後、へろへろながら、なんとかデッキに出られるようになって初めて目にした流氷。

しかし、南極の自然がこれまで守られてきたのは、このドレーク海峡が存在したおかげかもしれない。冒険家や観光客をそう簡単には受け入れない厳しい自然条件。南極大陸の周囲は海流も気流もとても激しく、まるでこの大陸を守る障壁のようになっているんだそうです。
そのせいで、南極は人の手に触れられずにすみ、地球の歴史を探るのにかけがえのない貴重な資料になっている。
宇宙規模で見ても地球みたいな星はめったにない奇跡なんだって。人類も動植物も、海(水)のあるこの惑星でしか生きられない。南極を守ることは、私たちのため、子孫のため、そして地球のためにも必須なんだそうです。
という、おもしろくまた興味深いお話を聞かせてくれたのは、ウッズホール海洋研究所の本庄丕(ほんじょう すすむ)先生。

左から、三浦隊長、本庄先生、坂井シェフ、グローバルの古木会長。

南極海に入れば海は穏やかで、すぐに回復した。
これが上陸用のゾディアック・ボート。10人ほど乗れる。船の側面の階段を下りて、ボートに乗り込む。
 




初めての上陸地点、ポーレット島。

ペンギンがすいすいと泳いでいる。

 
ペンギン着ぐるみ姿のフィー子。
  
 
ここで、ペンギンわしづかみ事件が起こった!


ツアーコンダクターSさんの談話。 
「最初の上陸地点でのことです。南極は自然保護の観点からペンギンには5メートル以内に近づいてはいけないことになっています。南極のペンギンは人間を怖がりませんし、お客様はつい夢中になって近づきすぎてしまうことがあります。それを注意するのも私たちツアーコンダクターの仕事です。
 ふと見ると、ペンギンに1メートルくらいまで近づいて写真を撮ろうとしているお客様がいるではありませんか。離れてくださぁいと声をかけようとしました。するとどうでしょう……なんと、そのお客様がペンギンの頭をつかんでポーズを変えようとしている! ぎょっとして、駆け寄ろうとしたとき、こんどはそのお客様がペンギンをわしづかみにして鞄の中にぐいっと入れてしまいました……肝がつぶれるとは、このことです」
そうです。そのペンギンこそ、ペンギンの着ぐるみを着たフィー子だったのです。
Sさん、ぎょっとさせてすみませんでした。
 
挙動不審の怪しいカメラマン。